『集中現象』
 
 小百合幼稚園の子どもたちは、たくさん準備されたお仕事の中から、自分のやりたいお仕事を自分で選んで活動しています。登園するなりやりたいお仕事を選択・決定して活動を始める子もいれば、なかなかどれを選んでよいのか迷って選べない子もいます。
 日頃どちらかと言うと後者のH君でしたが、先日「縫いさし」というお仕事を行なっていた時のことです。普段おっとりとしている雰囲気のH君の目に生気が溢れ、集中している様子は真剣そのものでした。
  縫いさしというお仕事は、葉書大の画用紙に書かれている絵に1cm置き位につけた点を、毛糸を通した毛糸針で縫うと言うお仕事です。
  H君は全く周囲に気を散らす事無く、左手で画用紙を表・裏と交互に動かし、右手で針を点の中にさし、描かれた絵を縫っていきました。最後の点を1つ残して毛糸がなくなった時、H君は再び針に毛糸を通し最後の点を縫い終えました。正に目と手の協応動作の繰り返しでした。繰り返し縫うことに集中したH君は、自信に満ちた表情だったとその場にいた教師は職員全員に伝えてくれました。
  H君が集中現象を起こしたのは、点の穴を縫っていくと言う作業が、指先を訓練したいと言う内的な要求(運動の敏感期)と一致したお仕事だったからです。
  お外遊びの中でも繰り返し集中しているのを見る事ができます。体が弱く誕生したMちゃんは、最近毎日ジャングルジムに登ることに挑戦しています。登り終えた後は満足しきった嬉しい笑顔を見せてくれると担任は言います。入園前は弱い体をいたわっていたけれども、そろそろ自分の体が「もう少し体を鍛え始めてもいいですよ」とMちゃんの心に訴えかけているのでしょう。ジャングルジムに登るという全身運動を通して、Mちゃんは自分の体を作ることに喜びを感じています。
  2歳から4歳の子どもは、肉体のどの部分を使うことによっても限りない満足をひき出す時期で、運動を自分の能力として取り込んでしまう特性をもっているとモンテッソーリは言っています。子どもたちが、全身運動から指先に至る小さい運動までコントロールできる体を獲得する事は、「一人で出来るようにに手伝ってください」と周りの大人に発している要求を満たしていることです。
 モンテッソーリ教育の中で最も基本となる、日常生活の運動を繰り返し集中して行なう子どもは、随意筋を発達させながら独立心や集中力、更には自分に自信を得ることで、他人への思いやりも育てていきます。このように作業が人格を形成するといわれる所以は、集中現象にあります。
 そこで、子どもが集中現象を起こす為の作業を準備する上で大切なポイントを、いくつか挙げてみましょう。
 ・子どもの興味と一致する活動であること。
 ・教具がが子どもにとって魅力的であること。清潔であること
 ・子どもがやり易い大きさであること。(子どもサイズ)
 ・困難なところが制限されていること(困難の孤立化)
 ・おもちゃではなく本物の活動が出来ること。
 ・繰り返し経験できること。
以上のように物的環境を整えていく他に、ゆっくり、制限された動き・言葉で子ども一人ひとりに教師は提供していくという、人的な環境を整えていくことも大切です。
  物的環境と人的環境を整える事は、子どもの集中を誘う鍵です。日々の保育が子どもにとって意味のあるものであるためにも、H君やMちゃんのような姿に多く出会うためにも、環境設定に心を配って行きたいと思います。
     
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